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写真左 贈呈して頂いた
ボルト締め3丁掛締太鼓
2尺7寸平胴太鼓

「シンクロニシティ」 ”天草”でつながる初心のころと今

 今年2013(平成25)年の初夏は、私にとって公務員を辞めてからちょうど5年が経過した節目に
あたり、この節目に私は大きな転機の時を迎えているとともに、今から25年前、太鼓を本格的に習
い始めた頃の初心を思い起こす出来事が重なり、非常に感慨深い。

 まず、転機については、あくまで私自身の感覚によるものだが、太鼓の稽古修行がようやく満願成
就の時を迎えたことである。わかりやすく言うと、太鼓奏者としてのリズムを刻む精度や、音の安定感
などの演奏技術面の課題がほぼ解決できたことに加え、作曲において、ステージ演奏で十分に使える
オリジナル曲が数多くできたことが挙げられる。
 これからは、個人の演奏技術レベルのさらなる高みを目指すことはもちろんだが、それ以上に力を
注がなければならないのは、演奏場所の開拓やユニット結成など、観衆の前でのライブ活動によって
観る人の心を元気づける演奏を行い、その結果として経済的にも自立できるようになることだ。

 ところで、今年の3月中旬から5月末にかけては、私のソロ演奏の代表曲の一つである「ソアリング」
で、リズムを正確に打ち出すための稽古に集中的に取り組み、十分な成果が得られたが、その要因
には4月半ばに起こった二つの偶然の賜物があった。
 一つ目は、私のYouTube-ontachi2012チャンネルに、アメリカのあるチャンネルから共有としてジャズ
動画が送られてきて、その動画に紹介されていたジャズドラマーのエリック・ハーランドの打ち方、呼吸
や重心のとり方などが極めて良いヒントを与えてくれたことである。
 二つ目は、思いがけず、ある方が締太鼓を贈呈して下さり、20年ぶりに締太鼓を集中的に稽古した
ことで、リズムの正確さ、音の安定感の点で効果が表れた。そして、この締太鼓を使った稽古は、25
年前に太鼓を習い始めたときに最初に取り組んだ稽古で、冒頭で述べた”初心を思い起こす出来事”
につながるものであった。

 初心を思い起こす出来事には、締太鼓を贈呈していただき、それを稽古に取り入れたことと、
実はもう一つ、数日前に届いたばかりであるが、熊本県天草のいわした太鼓堂さんで2尺7寸けやき
平胴太鼓(正確には2尺7寸5分余り)を新調していただいたご縁が関係している。

 思い起こせば25年前の1988(昭和63)年、私は長崎県職員として島原半島南西部の出先機関に
配属され、同半島南端の口之津町にあった県公舎に入居した。仕事とは関係なく、なぜか太鼓を打ち
たい衝動に駆られていた私は、その年の夏、近隣の小浜町の太鼓保存会に入れていただいたのだが、
その頃、練習場となっていた集会所が何らかの事情で使えなくなっていた。保存会メンバーに何度も太
鼓演奏ビデオを見せてもらい、手ほどきを受けた私は、締太鼓1張をお借りし、仕事を終えてから日暮
れまで、口之津町の早崎半島の瀬詰崎灯台のそばの防波堤に座して、対岸の天草の山並みを眼前に
望みながら、締太鼓の地打ち(基本リズム)稽古に励んだ。晩秋の頃になると日の暮れが早まり、肌寒
くなって、そこでの稽古はしないようになり、また、翌年(1989年)の春には専用練習場が完成し、保存
会メンバーが揃って稽古をするようになった。したがって、この防波堤で天草を望んで太鼓稽古に励ん
だのは数か月間という短い期間であったが、私にとっては、まさに初心のころの忘れられない思い出と
して心に焼き付いている。

 大きな転機を迎えた今、ある方から贈呈して頂いた締太鼓で25年前の初心のころを思いながら稽古
に励んでいることと、いわした太鼓堂さんで新調して頂いた2尺7寸平胴太鼓(予想以上に音の鳴りが
良い!!)が届いたことが、時空を超えて、”天草”というキーワードでつながることに、シンクロニシティ
(意味のある偶然の一致)による人知の及ばない働きを感じ、これからなお一層、初心のころの思いを
忘れずに進んでいこうと思っている。

                                     2013.6.11 太三